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2006年02月13日

生きる

2.13 生きる.JPG

今日は、大谷美和子さん著「生きる」という本が届きました。
送ってくださったのは、岡山県にある、山陽女子高等学校の生徒会からです。

送り状には次のように書かれていました。
「この度は、大谷美和子氏著《生きる》のプレゼント企画にご応募いただき、
ありがとうございました。
この企画は、ハンセン病への理解を広めるという目的でしたが、皆様にこの本を
読んでいただくことができて、私達も大変嬉しく思います。
まずは、私達がハンセン病を正しく理解し、これからもハンセン病への差別や
偏見がなくなるように活動を続けていきたいと思っています。
                   山陽女子高等学校 生徒会」
心のこもったお便りに、まず感動しました。
プレゼントをしてくださったにも関わらず、「読んでいただくことが出来て嬉しい」と
いう、感謝の言葉が記されていたからです。
ハンセン病についての理解を求めるために、元ハンセン病患者さんの谷川秋夫さんと
接しているうちに、自然とそのような素晴らしい考え方が出来る人間になっていると
いうことに感銘を受けたのです。
「生きることの意味」を身をもって伝えてくださっている谷川さんの考え方が
こうして若い方に引き継がれていることが、本当に嬉しく思いました。

早速、本を手に取り、一気に読みすすみました。
この本は、14歳でハンセン病になった谷川さんの一生を、大谷さんが取材して
本にしたものです。ハンセン病は、今でこそ、偏見などが少なくなっていますが、
昔は、偏見そのものの世界で、家族からも隔離され、家族に迷惑をかけないよう、
故郷に戻りたくても戻れない、隔離された「島」で一生を過ごすわけです。
想像を絶するつらさを感じ、何度も涙を流しそうになりました。

谷川さんは、文学に長けていて、短歌で名作を沢山書いていらっしゃいます。
その中の一句にこのようなものがありました。
水野源三さんという、詩人についての一句です。
この方は、言葉も話せず、身動きもできないという最重度の障害の中で
「五十音と瞬きで」詩作をした人です。

吾に未だ聞こゆる耳あり麻痺せざる 口あり神の恵みと思ふ
                    <「生きる」P.18より転記>

しばらく、そのページから、目を離すことが出来なくなりました。

そんな谷川さんですが、毎年、宮内庁の歌会始に、歌を出しており、
見事に入選なさいます。
しかし、身体が不自由なため、やむなく欠席となると、欠席者の句は
詠まれないということで、テレビで聴くことができませんでした。
それについて疑問に思った、山陽女子高等学校の放送部のみなさんが
この問題について取り上げ、大きな話題となったそうです。
また、岡山の主婦の方が、宮内庁へお手紙を書いて、
是非、欠席者の句も詠んで欲しいということを嘆願したそうです。
結果として、宮内庁が動き、晴れて、欠席者の方の句も詠まれるように
なったという、非常に嬉しい話題も書かれてありました。

本の最後の方に、谷川さんの言葉が記されていました。

むだなことは何ひとつない。投げ出さずにいれば、きっといい日がくる。
そのことを伝えたい。この若い人たちに、苦しみのさなかにいる人に。

<「生きる」p.159より転記>

谷川さんの気持ちは、確実に伝わっていると思います。
何故なら、山陽女子高等学校の放送部の方は、ビデオ取材で作った作品の題名を
こうつけていたことからも伺えます。
「私たちの宝 谷川秋夫さんとの出会いから」と。

心が洗われるような、貴重な本に出会え、嬉しかったです。
この本に導いてくださった、お友達の紫さんに感謝します。
余談ですが、上記に登場する、宮内庁へお手紙を書いた岡山の主婦は
紫さんのご友人です。


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Posted by まるみ at 17:13│Comments(22)
この記事へのコメント
とても上手にブログで紹介して頂き、私まで〜
とても嬉しいです!感謝致しますm(__)m
私は、この本を読んで、想像していたより・・
涙が出ませんでした。普段ならちょっとの事で
ボロボロ涙を流す紫ですが、、、何故かと考え
納得した事は、谷川氏が素晴らしい人で、私を
この本で、心の浄化へと導いて下さった事と、
国と社会への”怒り”世の無情”血縁への愛”
仕方の無いほどの境遇への嘆きが強かった事が
その原因だと、思います。まるみさんの心から
このブログから、又、他の皆さんへ・・・
友人さざ波さんからの”想い”が伝わる事を、
とても、嬉しく、期待していますm(__)m
Posted by ゲスト at 2006年02月13日 18:13
追伸m(__)mこの記事を私のブログに〜、
転載の方法が?です。トラックバックして^^
頂けないかしら〜よろしくお願いm(__)m
Posted by ゲスト at 2006年02月13日 18:19
まるちゃん、この本、是非貸してね。
読んでから、まるちゃんの感想をじっくり見たいので、今回はちらっとしか見てません。
聖書時代からハンセン病(らい病)は忌み嫌われてきましたよね。
私は本当につい何年か前に、今でもハンセン病の方がこの日本で隔離されている事実を知り愕然としたことがあります。

私たちは真実と向き合うべきです。
素晴らしい本と出合えてよかったね。
Posted by ゲスト at 2006年02月13日 20:41
紫さんのおかげでいい本と巡りあえ、
感謝しています。
紫さんの書いてある通りですよね!
「心の浄化」って何て素敵な言葉かしら。
それにしても友人のさざ波さんは、
本当に素晴らしいことをしましたよね。
感動しています。

トラックバックしたいと思いますので
紫さんのブログにも「生きる」についての記事を書いてくださいね!
同じ内容を書いていたら、トラックバック
しますので、
ここに飛んでこれるようになりますので!
よろしくお願いします!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月13日 20:59
読書家のまる姉さんなら
一気に読めちゃいます。
今度持っていきますね!

ハンセン病の患者さんのことは、
あまり知らなかったというのが事実で
この前、宿泊を拒否した温泉が話題に
なっていて、改めて考えたくらいでした。
どんなに恐ろしくつらい思いをされていたか
この本を読んで知りました。
「それでも生きる意味」を感じとりました。
素晴らしい本です。
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月13日 21:01
ただの懸賞の当選品とは違い
心のこもったものでいいですよね。
最近は本も読んでいない私・・・
読んでみたくなりました。
Posted by ゲスト at 2006年02月14日 00:57
本当にそう思いました。
懸賞をやっていたおかげで巡り合えたものって
多いですよね。
いい趣味と思いました!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月14日 07:55
はい^^;又、書くのは難しいけど(><;
まるみさんのように、上手に解説出来ないし〜
でも、紫流に^^;紹介致しますm(__)m
Posted by ゲスト at 2006年02月14日 10:47
無事にトラックバック終了しました!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月14日 20:40
まるみ様、この度は、山陽女子校の贈り物《生きる》を、丁寧にお読み下さりありがとうございます。今は気忙しい時代で、本も斜め読み、飛ばし読みになりがちですが、これほど文意を深くとらえ、このようなコメントをお書き下さり、心に沁みました。記事を拝見し、最近は余り遣わない言葉《眼光紙背に徹す》を思いました。読み方、まさに、これですよね。素敵な方とお近付きになれて、山陽女子校さのプレゼント企画に感謝しています。
Posted by ゲスト at 2006年02月15日 12:22
トラックバックありがとうm(__)m
文章力のある!まるみさん^^に、紹介して
頂き、ほっと、しています(^−^V
Posted by ゲスト at 2006年02月15日 13:38
「生きる」
若い?私達が、真剣に読まないといけない本ですね。
まるみさんが、丁寧に読まれたのが、よくわかりました。
Posted by ゲスト at 2006年02月15日 18:05
ここでは、はじめまして!
紫さんのところでは、お目にかかっていましたよね!
素晴らしいコメントをいただき、恐縮です。
私の方こそ、紫さんを通じて、
こんなに素晴らしい行動をされたさざ波さんに感動し、敬意を表して、最後に感想を入れたのです。
宮内庁にお手紙を書くということは、
本当にその方のことを心底想ってなければ
出来ないことですものね。
自分の未熟さを改めて反省するきっかけにも
なりました。
さざ波さん、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月15日 21:52
いえいえ、こちらこそ、紫さんの説得力ある
文面に、うんうんと相槌を打っていました。
ブログってこういうつながりが持てて
いいですよね〜。
懸賞以外や、懸賞を通じて、
こういう広がりが持てたらいいなと
想いました。
紫さん、本当にありがとうございました!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月15日 21:54
くにこさんのように立派な若い人にも
読んでもらいたい本ですネ。
機会あれば、読んでみてくださいね!

普段の私のブログは「楽しく明るいブログ」を心がけていますが
たまにはこういう真剣な話題もいいかな〜と
思いました!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月15日 21:56
まるみさん、こちらのサロンに、初めてお邪魔します。嬉しいコメントまで頂いて、強度の人見知りが吹っ飛びました。先日まで、身内二人入院している上に、また遠隔地から二人入院しバタバタしていました。でも、その二人が退院し一息ついた処です。まるみさんの楽しく明るいブログが、重くるしい話題になって恐縮です。でも、ギャラリーの皆さんは、普段見られないまるみさんの横顔を読ませて頂けて、新たな感動があったことでしょう。あ、もう出掛けなくっちゃ! ひと言、お礼まで。又、ゆっくり伺います。
Posted by ゲスト at 2006年02月16日 09:11
お忙しいのにお立ち寄りいただき、
ありがとうございます!
入院している方がいらっしゃると、
本当に大変ですよね。
どうぞ、さざ波さんもお身体を大切に
なさってくださいね!

話題は、重苦しくはなく、
大切な話題と認識しています!!
こういうことを書くって、必要なことですよね!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月16日 14:23
まるみさん。入院介護にお気遣い下さり、ありがとうございます。
また、谷川さんの話を、大切な話題と思って下さって嬉しいです。
お話し出来る友人が増えたことに、心から感謝しています。ところで、

> 《吾に未だ聞こゆる耳あり麻痺せざる口あり神の恵みと思ふ 》
この歌ですが、谷川さんと初めてお会いした時、私はこれを言葉で聞きました。後遺症のひどさは外見だけでなく皮膚感覚が90%以上なく、暑くても発汗せず体温調節が困難、火傷しても気付かない。私は、つい「ご不自由ですね・・」と話したら、「私はまだ耳が聞こえて話せるから幸せです」と言われたのです。頭、ガガ〜〜ンでした。自分は文句の少ない人間と思っていた思い上がり! 暑いの寒いの不味いの似合わないのと文句だらけ ! もう、反省しました。

ところで、著者の大谷さんは、この歌の説明で、こう書いてあります。
> かつて水野源三という詩人の生涯を書いたことがある。彼は言葉も話せず、身動きも
> できないという最重度の障害の中で50音と瞬きで詩作した。谷川さんは、《吾に未だ
> 聞こゆる耳あり麻痺せざる口あり神の恵みと思ふ》 と彼のことを詠っているが、
> 私も谷川さんが自分である程度生活して行けるのを見てうれしかった。

この《彼のことを詠っているが》は、一見すると、彼=水野氏と思えます。
彼=谷川さんなら、《ご自分のことを詠っているが》となるでしょうから。

谷川さんに、この箇所を読んで上げたら、「水野さんとは面識もない。当然、私のことを詠んだ歌です」と言われました。ご本人まで、そう取られる書き方・・・
《谷川さんは、〜〜〜〜と彼のことを詠っているが》なら、そう解釈できます。
皆さん、どのように理解なさるでしょう? 歌のご感想、著者と同じでしょうか。
Posted by ゲスト at 2006年02月17日 14:11
この「生きる」の本の、曖昧な点が賢著に表れている部分の↑ご指摘!のように思う(。。;
この本を、読みながら、何度となくページを、めくる手が止まる時がありました。それは、、著者が谷川氏と”交錯”してしまう部分がある
からだと思います。この部分も、書いたのが、
大谷美和子さんだと構えて直して読みました。
それでも、谷川氏が水野氏を知って、詠んだ歌のように、読み取れますね。”ミス”ですかねぇ^^;彼女は、谷川氏に会う事に、それまでの経験の中でも、最も重圧があった様子を書いたのですが。。。本文と言える部分でも、、、客観的に、ひとりの人の人生を書きつつも、著者の感情が文面に表れてる。
秋夫の感情を表す文面、すべてが、すべて!!
彼の言葉の丸写しでなく、聞いた事、テープに録音した言葉に、自分の言葉が重なってる・・
区切りが曖昧?意図的?もう一度、そう言う^^観点から読み直すのもいいかも(^^;?
Posted by ゲスト at 2006年02月17日 17:39
曖昧だったかなぁ(><;この歌は、、、
谷川氏が自分自身について詠んだ歌と、受け取れるけれど、著者が、想像していた以上に、、谷川氏の前向きなお人柄や明るいイメージを、
彼の詠んだ歌の引用で、表したつもりなのだろうけれど。。。紫的には、この歌は、もっと、重い歌なのだから、もう少し、掘り下げて、とりあげて欲しかった歌のひとつでした。
Posted by ゲスト at 2006年02月17日 17:51
なるほど〜。
この歌について、谷川さんは、てっきり
水野さんのことを知っていて、
その人と比べて、自分はまだ幸せなんだと
詠んだと理解をしていました。
そういう書き方ですよね。

でも、さざ波さんによれば、
谷川さんは面識もなかったとすれば、
これは、紫さんが書いてあるとおり、
自分の主観も混じって書いてしまったような
気がしますね〜。

谷川さんは、他者と比べて詠んだのではないのに、
作者がいろいろな人と面識があるので
つい、そのように書いてしまったように
思えます。

勉強になりました!!
Posted by のぐちまるみ at 2006年02月17日 23:24
> 《吾に未だ聞こゆる耳あり麻痺せざる口あり神の恵みと思ふ 》
まるみさん同様、大抵の人は、谷川氏は水野氏と交流があると思うでしょうね。
「と、彼のことを詠っているが」と有り、私も、一瞬、戸惑いました。

でも、谷川さんは全盲で義眼、手の指は内側にコの字に曲がり硬直し動かない。
足も萎え、歩くのもやっと。下唇は下垂し、涎をしょっちゅう拭かねばならず、
唇が合わさらなければ、必然的にパ行マ行の発声も難しい。皮膚感覚が殆どなく、
感覚のない皮膚は発汗作用も機能せず、体温調節も困難だそうです。

14歳で発病し、隣近所からは白眼視、実の兄からは「お前がいると自分の結婚に
差し支える」と言われ、瀬戸内の小島にある長島愛生園に入所しました。
当時、ライ病は、天刑病と呼ばれ、忌み嫌われ怖れられ、光田園長は国会で
「手錠をかけてでも収容すべし」と発言したほどの扱いだったのです。

非難の目や言葉から逃れられても、まだ子供です。丘に上がり、兵庫県の故郷に
向かって、声を上げて何度も泣いたそうです。入所者は、脱走しないようお金は
没収され、園内でしか通用しない通貨に替えられる。患者が増えて雑魚寝の病室、
介護員不足で患者が患者の世話する状態。火葬まで患者がしたそうです・・・。

規則違反すると、暖房もない石牢に入れられ、食べ物もろくに与えられず、本当に
悲惨だった。海岸の高い崖から飛び降りて自殺する人が何人もいたそうです。
患者同士の結婚は、子供が出来ないよう手術するのが条件でした。病気で亡くなる
人も多く、年間、三百数十人という年も有ったそうで、想像を絶します。

患者は、家族に迷惑がかかるのを怖れ、戸籍を抜き、自分で偽名にしたのです。
そこまでして守った家族から、見放され嫌われ、ライ予防法が無くなった今も、
故郷への里帰りすら出来ない人が殆どのようです。谷川さんは、ハンセン病の
むごい歴史を経て、今なお、後遺症に苦しみ不自由な日々を送っています。

ですから、水野さんに較べて自分はマシだとかいう心境ではないと思うのです。
人々が、この歌に心打たれるのは、谷川さんが、ここまでの身障者でありながら、
尚かつ、神を恨まず、残された機能を《神の恵み》と詠んでいるからでしょう。
この歌は、紫さんのおっしゃる通り、重く考えさせられる歌だと思います。
Posted by ゲスト at 2006年02月20日 12:10
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